法定後見人制度は、判断力が低下した方の財産と社会の繋がりをサポートする“最期の砦”ともいえる制度です。
なお、後見人の審理~選任までを家庭裁判所が行うことから、任意後見制度と比べると、後見人は自由に選べない、後見人への謝礼が必須、申請や手続に時間にもそれなりに時間がかかる、といったデメリットがあります。
そのため、個人的には 法定後見人のお世話にならないように備える ことは終活の目標の一つだと思っています。
今回は、そんな法定後見人と任意後見人の違いや手続きについて紹介していきます。
何度も繰り返して言いますが、「認知症への備えは判断力が十分なうちに行う」ことがとても大事です。
法定後見人と任意後見人の違いとは?
法定後見人と任意後見人の違いとは?
認知症の方をサポートする後見人制度には、法定後見人と任意後見人とがあります。
後見人の役割はどちらも同じですが、専任方法や謝礼などに大きな違いが見られます。
【法廷後見人と任意後見人の違い】
法定後見人 | 任意後見人 | |
選任タイミング | 認知症になった後 | 認知症になる前 |
後見人を選任できる人 | 家庭裁判所 | 本人の自由意志 |
後見監督人の有無 | 裁判所の判断次第 | 必須 |
後見人への謝礼 | 2万円~6万円/月 | 0円~4万円/月 |
注目するべきは、後見人を選べる人と後見人への謝礼の有無ですね。
◎後見人を選任できる人
法定後見人は家庭裁判所が専任するため、誰が選ばれるかも分かりません。例え家族がいる場合でも家族が選ばれることは非常に稀です。
実際、法定後見人では、弁護士や会計士などの専門家が専任されるケースが大多数を占めます。
対して、任意後見人は本人が指名することができるので、家族や知人を後見人とすることも可能です。
◎後見人の謝礼の有無
どちらの後見人にも費用は掛かりますが、任意後見人の方が費用を抑えられる可能性が高いです。
- 任意後見人では後見監督人への報酬が必須(5000円~4万円/月)になるものの、後見人への費用は0円(家族など)にできる場合もあり、一般的に費用は抑えられる傾向にあります。
◎法定後見人と任意後見人の分かれ目
法定か任意かは自由に選べるものではなく、申し立て時の認知症診断の有無によって決まります。
【法定後見人と任意後見人を分ける申し立て時の状態】
- 本人が認知症と診断されている:法廷後見人
- 本人が認知症と診断されていない:任意後見人
認知症になってからでは家族や知人を後見人に指名することが出来なくなるため、判断力が十分なうちに後見人を専任しておくことは非常に重要なポイントです。
例えば、同居している高齢者が認知症になって口座が凍結されてしまった場合、認知症前に後見人を選出しておけば後見監督人への報酬だけで済みますし、家族が本人の生活費などを負担する期間も最低限で済みます。
対して、何の備えもしてない場合は日常生活がままならなくなった挙句に色んな人を巻き込み、長い時間をかけて法定後見人を選出することになるため、周りの人への経済的負担も大きくなります。後見人のサポートはその後も続き、少なくない謝礼を支払い続けることになります。
任意後見人契約は、おひとりさまだけではなく家族のいる方にも必要な備えと言えます。
元気で判断能力がある内に、判断能力が低下した時に備える有効な手段のひとつが任意後見制度です。 適切な任意後見人がいてくれると、万一判断力が低下した場合でも、最後まで自分らしく過ごすことができるので老後の安心感がより確かに …
法定後見人の申し立て手続きと流れ
法定後見人の申し立て手続きと流れ
法定後見人は家庭裁判所による審査・審判を経て選任されます。
手続きの流れは以下の通りです。
- 申立:家族、4親等内の親族の誰かを「申立人」として、家庭裁判所にて「後見開始申立」手続きを行います。
家族・親族がいない場合は、行政にて手続きを行います。 - 書類提出:家庭裁判所に、申立書・関係書類一式を提出します。
- 審査:家庭裁判所の調査官による「申立人」と「後見人候補者」に面談調査を行います。平行して、医学鑑定や申請内容も調査を行います。
- 審判・選任:家庭裁判所の裁判官が決定を行い、「申立人」と「後見人」に決定内容(裁判所)を送付します。
- 審判の確定:通知書が送付されて2週間後に通知内容が確定します。
法定後見人は、利用者の財産や契約を適切に管理する必要があるため、確かな人選が求められます。
後見人の活動が開始されるまでに2ヶ月~4ヶ月程度の時間がかかるのは、至極当然と言えます。
法定後見人が決まるまでの時間
法定後見人が決まるまでの時間
審理期間は個々の状況によって異なり、シンプルなものなら2ヶ月以内、長くても4ヶ月程度の期間が目安となります。
【審理期間の目安(参考:成年後見関係事件の概況 令和5年1月~12月)】
- 2ヶ月以内:71.8%
- 4ヶ月以内:21.9
- 4ヶ月以上:7.3%
家庭裁判所による審理や調査、面談などが入るため、今日申請して数日後には利用できる…といったお手軽な手続きとはならないことだけは間違いありません。
まとめ
法定後見人は認知症になった方の財産や契約を支援するための最期の手段です。
ただし、法定後見人を申し立てられる時点で様々な人のサポートが入った結果であり、周囲に大きな負担をかけた証拠とも言えます。
さらに、申し立てからは2~4ヶ月程度の審理期間を経て後見が開始されるのですが、その間は本人の口座から預金を引き出すことも出来ませんし、契約の変更も出来ません。
申し立て後も、誰かが本人の生活を支援する必要性は高いため、サポートする方の経済的&精神的な負担も大きくなることが見込まれます。
これらのことを考慮すると、法定後見人が必要な状況を避けることは終活の目標の一つと言えます。
認知症は本人の自覚がないまま進行することも多いため、「まだ十分な判断力がある!」と思えているときこそ、任意後見人契約を結んでおくのがおすすめです。
シニア身元保証協会では、任意後見契約も取り扱っています。
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